「ふぅっ……」
口接けの合間に漏れる小さな声に目を開ける。
目尻に溜まった涙を舐めとり、唇で輪郭を辿って耳に到着すると、サンジの喉からクンッと音が漏れた。
「おまえ、感度いいのな。」
「わ、るかった、な。」
「ばか、誉めてんだろ?」
嬉々として、サンジの服を脱がし、抱き締めた腕が背骨を降りる。
双丘をやにわに両手で掴むと、ビクリとゾロにすがりついた。
「ここだよな。」
「お、おう。……な、ムリじゃねぇ?」
「いや、いけっだろ。」
無責任なセリフにサンジが眉をしかめたとき、ゾロの背中に衝撃が走った。
「っざっけんな!てめぇがへたくそなくせにムリすっから、おれがどんな目にあったか!!」
「てめぇ、誰だ!どっから現れやがった!!」
「誰だ、だとう?口説き落とした相手の顔もわかんねーのか!?あぁ?」
攻撃を仕掛けてきた相手を正面からマジマジと見て、背後の恋人を振り向く。
向かって左側に見える碧眼。
正面のサンジは向かって右側。
「か、鏡?」
「「鏡のワケ無えだろ!!」」
数年後の未来からやって来た自分たちだという二人は、信じる以外無いほど同じ気配、ただし段違いに強い気を放っていた。
「めちゃくちゃだが、わかった。で、何しに来た?」
「初体験の手ほどきに。」
「いらん。帰れ。」
「ま、そう言うだろうとは思ったさ。」
ゾロ同士での話し合いはこれで潰えたかに見えた。
しかし
「な、居て貰おうぜ。」
「はあ?」
「おれ、裂けたケツの治療を鹿にされんのなんて、イヤだ!」
「気づいたときにはマッパでケツから血流してるおれの周りに、仲間全員いたんだよな……。」
「おれだって血まみれチンコ見られたぞ。」
「自業自得だろうが!!」
「おかげで何年経ってもヘタクソ扱いだ。」