唇を合わせたまま、サンジの下肢を探ると硬いものが触れた。
嬉しくなって「起ったな」と言うと、ぴくりと身が強ばった。
「・・・から・・どっちだよ・・・」
よく聞き取れなくて、顔を上げると見逃すまいとするかのように、
おれの眼を覗き込む碧眼とぶつかった。
「てめぇに触られっと感じちまうって言ってんだろ。イヤなら触るな。
そうじゃないなら・・・そんな言い方すんな。」
「イヤなわけ無ぇだろ。」
そんな言い方と言われて、さっきの泣きながら侮蔑されると悲しいと訴える姿が蘇る。
一般論じゃなく、おれにそうされてると思ってたってことか。
蔑む気持ちなんか無い。
からかってるわけでもない。
ただヨくしてやりたくて、そればかり気になっていたから、
反応があるとそれを口に出していたかもしれない。
そう言うとサンジはガッと頭をつかみ、頭突きをかました。
「てめぇは口から出す前に、3秒考えやがれ!」
そう言って唇に噛みついてきた。
深いキスを交わしていると、みるみるうちにサンジの肢体から力が抜けていく。
息継ぎを求めて離した唇で、そのまま頬を啄むと、もっと、というように顔をコテンと横向ける。
おれの進む方向に差し出される素直な動きがかわいらしい。
形の良い耳殻を撫でながらツゥッと一気に鎖骨まで舐め降りると、
声にならない悲鳴を上げ、背中がきれいな弧を描いた。
まだ触れてない赤い飾りも、下半身も既に屹ち上がっていて、完勃ちじゃねぇか、と思うが、
3秒考えて言わないことにした。
くっきりと浮き出た腰骨にキツく吸い付き、柔らかい内股を撫でる。
あの殺人的な蹴りを放つ凶器だと忘れそうになるしなやかな脚は、
強く撫でると薄い皮膚の下で凶器だと主張するように太い筋肉が蠢いた。
嬌声を上げるわけではないが、荒い呼吸音がそそる。
娼婦を買ったこともある、商売女じゃない女だって抱いたことくらいあるが、
前戯は単なる手順だった。
こんなのは知らない。
「すげー、興奮する。」
ぽかんとおれの顔を見たサンジは、ホッとしたように笑って言った。
「おれも。すげー気持ちイ。」
その言葉に、おれこそホッとした。
屹立したものにも舌を這わせる。
透明な雫がクプンクプンと溢れ出ている。
その源泉に舌先を突っ込むと高い悲鳴が耳に届いた。
くわえたまま目線を上げると、
半身を起こしパクパクと何か言いたげにこちらを見ている男と目が合った。
ふと視界に入った間の尖りをキュッと摘むと短い叫びとともに苦い液体が口の中に広がった。
「ごめ・・・止まん、ない・・・」
ビクビクと腰が跳ねている。
快楽に忠実な、感じやすい肢体だ。
ついさっきのおれの前で達しないくせに、と逆上したセックスを思う。
無体を強いた。
感じろと強要するだけで、優しく触れてなんかいなかった。
それでもこの体は高まったのに、それを抑えつけていた。
ずっと。
抑えていたんだな。
おれが嫌がると思って。
それはどんなに苦しかっただろうか。
口中に溜まった液体を飲み下し、尿道の残滓をヂュッと吸い出してやると、
止まっていた腰がもう一度大きく跳ねた。
荒い息を吐きながら、枕元のティッシュを数枚取って差し出して来た。
「わ、りぃ。早く、これ。」
もう飲み込んでいたから、カパッと口を開けて見せてやる。
「う、そ、だろ・・・
ちょ、吐いてこいよ。うがいとか。」
「いらね。別にそんな不味くもなかったぞ。」
「んなわけねぇだろ―。あー、もう、信じらんね・・・」
心底焦る姿がおかしくて、今度から毎回飲んでやろう、と心に決める。
キスしたくて、伸び上がるが、顔のそばに来てから自分の味は嫌がるか?と止まったら
自分から引き寄せて清めるように口内を舐め回してきた。
あんなに嫌がっていたのに。
こんなときでも、こいつはこういうヤツなんだ。