「起きてるか?」
ひょこりと、展望台の床の中央から、サンジが顔を覗かせた。
空を飛ぶようになり、すっかり梯子を使わなくなってしまったサンジは、遠くに気配を感じた途端、足元に現れる。ある意味、ゴースト女とそっくりだ、ゾロは2年ともに過ごしたペローナを思い出した。
「夜食か」
「おう」
誇らしげにサンジが差し出したトレーには小ぶりの丼ぶり。熱々の白いご飯の上には、たっぷりのマグロの中落ち。昼間にルフィとウソップが釣り上げて、夕食をツナフェスティバルにした立役者の大マグロ。その骨のひとつひとつからスプーンでこそぎ落とした新鮮な中落ちはトロリと脂がのっている。夕飯にも細巻にしてみんなで愉しんだものだ。
その中央には、しょうゆ漬けの卵の黄身が載っている。最近のゾロのお気に入りだ。
フタを開けた途端に、オッという顔をするゾロを、サンジは見ただけで嬉しくなった。
味噌汁はジャガイモと大根。これだって、かなり気に入ってるはず。
サンジは時計を見て、トレーに伏せていたお猪口を返す。
トクトクトクとゾロにお酌した熱燗を自分の猪口にも少量注いだ。
「おまえが生まれた日に……乾杯」
一瞬目を見開いたゾロがふっと笑った。
「最高だな」
「ばっか。残りもんばっかだぞ。明日が本番だ楽しみにしとけ」
にこっと笑ったサンジの顔が近づいていく。
あと少し、というところで、我慢できなくなったゾロの手がサンジの後頭部に伸び、グッと引き寄せる。
少し苦い舌、これこそゾロの一番の好物。
fin
2015.11.11 45分前にツイッターで0時に作品UPしようと頑張っている人たちを見て、そのお祭りに乗ってみました。
少し直しましたが、元が45分クオリティだけあって、なんでペローナ出したのか忘れちゃったwww
思い出したら、改訂しますw