「お手上げね、こんな事象どこにも載ってないわ。」
「血液も、海水も全然問題ないんだよ・・・。」
「このまま小さくなり続けたら、消滅するのかしら。」
「ちょ、怖いこと言わないでよ!あれ、サンジくんは?」
「フフ、見て。」
ロビンの膝に顔を埋めるようにすやすやと眠っていた。
「ずるーい!私もだっこしたい!」
「あら、ムリよ。起きちゃうわ。」
「大丈夫、そっと、そーっと。」
腹側に手を入れ、コロンとナミの方に倒す。「ん~」
「なんでもないのよ~」おでこを撫でると開きかけた瞼がとろんとくっつく。
「やん、かわいい~。」
「眉毛はやっぱり巻いてるのね、不思議。」
そっと、と言った舌の根も乾かぬうちに二人がかりで触っているとパチンと目が開いた。
「え。」きょときょとと見まわし、ジタバタと起き上がったサンジはポテッとベンチから落ちた。
後頭部を撫でながらその場に座ったとき、甲板で大物が釣れた。
「おーっ!すっげー大漁だぜぇ!」
サンジがパッと立ち上がり、ナミとロビンを振り返る。
「行ってらっしゃい。」
「海に落ちないようにね。」
「うん!」
サンジが駆け出して、ドアが閉まった。
「ねぇ、また縮んでたわね。」
「ひぇぇ~~~!い、いしゃ~~!」
甲板までは勢いよく走り出たサンジが階段の下で立ちつくす。
「おい」その後ろからゾロが声をかけた。
「うぁ!へんちゃい!」
「おまえな・・・あいつら気付いてねーだけだ。近づいて入れてって言ってみな。」
こくんと頷いたサンジがウソップに近づき、ズボンの裾をくいくいと引っ張る。
「いえて。」
「おあ~!サ・サンジ?だよな。」
「すっげー!サンジ、今いくつだ?」
「じゅーきゅーしゃい」
「そーだけど、ちがーう!」
キャーキャーと歓声を上げながら、釣りをした。
追いかけっこもかくれんぼもした。
ちょっとだけ休憩、とチョッパーも出てきて転げまわった。
バンジーは半泣きで笑っていた。
遊んで、遊んでフラフラになった。
「じょろ、ねてる。」
「あー、あいつぁ、実は一日20時間寝ないと死んでしまうネムイネムイ病という奇病の患者でな、
おれ様が日常生活を送れるまでに治してやってだな―――」
「おれも昼寝しよー!サンジも行こうぜ!」
ゾロの隣にごろんとルフィが転がった。その隣にサンジも寝っ転がるがすぐに起き上がる。
「いで。なんだよ、サンジ。こっちがいいのか?」
ルフィの腹の上に這い上がったサンジを抱っこして自分とゾロの間に置く。
満足気に転がって、腹巻をきゅっと掴んだサンジをゾロが腹の上に引き上げる。
にぱぁっと笑って眠りの淵に落ちて行った。
「急に静かになったわね。」
キッチンから二人が現れるが、甲板には誰の影もない。
「うふふ。見て。」ロビンの示す足元を見ると、わずかな日陰に集まるように男連中が寝ていた。
「戻ってる!」
「そうね。戻るときは一気に大きくなったわね。」
「はぁ、なんだったのよ。結局。」
「・・・遊びたかったんじゃないかしら?」
「えぇ?だって、9歳のときでもバカにしてたわよ!?」
「そうね、でも、遊びたそうに見えたわ。」
「遊びたい、が言えなくてどんどん小さくなったって言うの?」
「ああやって、お昼寝したい、とかね。」
「そんなの、すればいいじゃない!バッカみたい、カッコつけにもほどがあるでしょ。」
「あら、かわいいじゃない。さっきの子は4、5歳かしら?そこまで戻らないと素直になれない、なんて。」
「もう!消えちゃうかと心配したのに。お詫びに今日はご馳走作って貰わなきゃ!」
「そうね。でも、もう少し寝かしてあげましょう?」
後甲板で月見酒を楽しむゾロの元にサンジが皿を突きだす。
「酒だけ飲むな。」
「昨日はよこさなかったくせに。」
「あー、気付かなかったんだよなー思考もガキ並みになってたってことかなぁ~・・・」
ゾロの眉間のしわを押す。
「それで怒ってんの?」
「人のこと、変態扱いしやがって。」
「あははは!」
ゾロの膝の上にどすんと腰を下ろし、揃えた両足を横に投げ出す。
「女どもにベタベタ触らせっし。」
「おぉ!至福のとき~♪女神たちのお膝も最高~!」
「本能で嫌ってる、だの。」
「うんうん、危機管理能力が高いんだな。」
「生理的に受け付けねーだの。」
ふ、とタバコを灰皿に押し付けると緑の頭を胸に押し付けるように抱え込む。
「んなわけねーだろ。」
わしゃわしゃと抱えた頭をかき回す。
「ゾーロ、心配したか?」
「心配なんか、しねー。・・・でも、二度と御免だ。」
「うん。だな。」
fin
ほのぼので終わりたい方はここでおしまいにしてね。
カグーちゃんの、ちびなすを捕獲しようとするゾロというリクだったんですけどね・・・ごめんなさい。
ちびなすに逃げられ凹むゾロになっちゃった。なんか拗ねてるし。キモイ?
ご希望はトム&ジェリー的なドタバタだと思うんだけど、徐々にチビくしていったらそっちが中心になっちゃた。