我慢できない男たち

 

「ん……盛るな、こんな、とこで…」

「てめぇが悪ぃんだろ。煽りやがって」

逃げようとする薄い唇を執拗においかけ、捕まえた。

絡め取った舌がビクビクと震え、躰に火がついていることがわかる。

唾液を交換するような交接が、互いの熱を同じ温度にしていく。

もう、求めているのはおれだけでも、こいつだけでもない。

 

お前にとっちゃ不当な話だ、そんなこたぁわかってる。

それでも、やっぱり、不穏な港町の酒場なんかで無防備に酔っぱらったお前が悪い。

どんな目で見られてたか気付いてねぇだろ、バカ野郎が。

船に着けば、ごちゃごちゃと用事を思い出しちまうヤツだから、先に限界まで高めておいてやる。

すぐ格納庫に連れ込んでも、文句言えないまで。

 

シャツの上から、尖った乳首を抓むと大げさなほど弓なりに反りかえった身体を引き寄せる。

曝された白い首に舌を這わし、のどぼとけに歯を立てると、喉の奥でくぅっと音がした。

二の腕にしがみついていた手がおれの頬に触れ、上げさせた先には濡れた唇の間から伸ばされた舌があった。

望み通り舌を絡めてやると、また手が離れていく。

自然と目で追うと、自分のシャツのボタンを外し始める。

「焦れってぇんだよ。直に触れ、ばか」

「もうすぐ、船だぜ」

「……むり……」

はち切れそうな股間を押し付けてきたサンジを抱えて、木陰のさらに奥へ歩を進めた。

 

街の灯りも届かない暗がりでシャツを脱いで地面に座り、上に乗るよう促すが、月明かりでもわかるほど、赤い顔で下を向く。

蕩けちまえば大胆なのに、最初はいつだって処女のようだ。

抱き寄せ、ヘソを舐めながら、ベルトのバックルを外してやると、おれの頭を抱えるように半身を折る。

「船まで待てねぇんだろ?濡らすもん持ってきて無ぇんだから、協力しろ」

「きょう、りょく……」

「おぉ。おれもたっぷり濡らしてやっから、な」

脱がした尻の狭間に手を差入れ、乾いたソコを撫でてやるとようやく意図を察したか、単に観念したのか、コックはおずおずと後ろ向きになっておれの上に乗った。

 

船に帰れなかったのは予想外だったし、やり過ぎたかとも思ったが、これはこれで良い方向に転がった。思わずにやける口元を、おれは必死で引き締めた。

 

普段、コックにはあまりフェラをさせない。

コックが嫌がるわけではないが、それよりも俺が入りたいからさせる余裕が無い。

一回入れた後じゃ、さすがにかわいそうだしな。

それにしても、これは……下手だ。

たどたどしい手戯と、ちゅーちゅーと吸い付くばかりの口元に苦笑が漏れる。

「ん―、笑うな、ばかやろ。どうせ、ヘタだよっ」

「いや、これはこれで、いいぜ?」

 

 

ムカついたのか、えいやっとばかりに砲身を飲み込むと、強烈なバキュームフェラをかましてきやがった。

気を抜いていただけに、暴発するか、という寸前、パッと離れるとおれの太ももにしがみついてゲホゲホと咳き込んでいる。

「バカ、ムリするからだ。さっきので良いって言ったろ」

手を伸ばして背中を摩りながら、咳につられて揺れるコック自身を咥えてやる。

途端溢れ出す愛蜜を口に溜めては秘孔に流し入れる。

コックは咳は治まったのに、もうおれのを掴んでるだけで腹の上でただ揺れている。

「おい、一人で気持ち良くなってんじゃねぇか?」

「ちょ、きゅ……けい…してた、だ、んっ―――」

必死で喋るのがいとけなくて、つい、先端に舌先を突っ込みながら、奥の弱い個所を引っ掻いた。

キッと濡れた眼で振り返り睨みつけると、再びぱくんと咥えにいった。

暫くレロレロと舐めたり、摩ったりするに任せていたが、みるみる内に巧みになる口戯に持って行かれそうだ。

おれは、差し入れたまま指を動かしていないのだが、このエロい孔の収斂はおれの指をイイところに持って行こうと動かしやがる。

ゆらゆらと動く腰も無自覚だろうが、性質のわりいこった。

 

指を引き抜き、ビクビクと伸び縮みする孔に、ふーっと息を吹きかけるときゅぅっと窄まって、少量の白濁が飛んだ。

「ぞろ…」

「もう、いいか?」

「いい、ほし……」

 

膝立ちになったコックの腰を支えてやり、徐々に下がるよう助ける。挿入ってはビクンと浮き立つ身体。本人も焦れてるのがわかる。

コックの両膝を掴み、いわゆるM字開脚の形にして持ち上げると下から突き入れた。

コックの上体ががくがくと揺れ、後ろについた手まで震えている。

片手で腰を支え、片手でその手を握ってやる。

「こんなカッコ、サイテーだ」

口では文句を言うが、足を戻す気は無いようだ。

「でも、すげー奥まで入ってるだろ。よくねーか?」

「別に、フツーだ」

荒い息を吐き、蕩けきった顔をしているくせに憎まれ口を叩く。

「じゃ、動けんだろ。動けよ」

ギッと睨んだところにすかさずグラインドを加えると、あふぅと甘ったるい声を漏らして、それを隠すように腰を上下させ始めた。

 

月明かりの下、汗を散らし、そのものが発光しているように輝く肢体は、いやらしくくねる。

絶頂が近づく、このままずっとこうしていたい、その思いに耐え続けたが

コックの放出に連れて動いた内部がもたらした快感には耐えようもなかった。

 

はぁはぁと荒い呼吸を整えたコックが、こてんとおれに覆い被さる。

「大丈夫か?」

答えずに接吻けてきたコックの咥内はひどく熱かった。

 

fin