モドモドのサンジ

「うっわぁぁぁぁ!」

果たして、燃えるサニー号の甲板に残されたのは、小さな料理人の姿であった。

 

「ああ、情けねえ。こんな姿で、温泉地に放り込まれて、毎日のほほんと……

ナミさん呆れてるんだろうなぁ、キッチンもない、戦闘もできないサンジくんなんてカッコ悪いわ~って思ってんのかな。あぁ…うあああああぁぁぁ!」

「うっせえ、アホコック。ちっこくなってんのはあいつも一緒だろうが。」

「ナミさんは小さくなっても、変わらず可憐だから良いんだ!」

「んじゃ、てめえも可憐にしとけ。」

「あっほかぁ!おれが可憐でどうする!おれはいつでも、スマートで、ピシッとキメたジェントルコックじゃねえか!」

「戦闘もできねえ役立たずっててめえで言ったんだろうが!戦う気のねえやつぁ、後ろでイイコにしてな。チビだろうが、ジジイだろうが、関係ねえな。」

「役立たずなんて言ってねえし!戦う気が無いなんて決めつけんじゃねえよ!」

「あの~~」

のどかな宿場ののどかな畳の上で、場違いにもギリギリと睨み合う二人を分けたのは、お化け屋敷以外では働けそうにない骸骨だった。

「お可愛らしい姿になってしまって、不安なのは分かりますけど、大丈夫。あなたが戦えないなんて、誰も思っていません。ねえ、ゾロさん。」

プイと横を向くゾロに、船長がイシシと笑いかける。

「ゾロの方が守ってやりたくなっちまってんだよなぁ!」

「「はあっ!?」」

揃った声は、ゾロとサンジ。

「んなわけねーだろ!ふざけたこと抜かしてんじゃねーぞ!」

激昂するゾロの声も、そうか~?と呑気に聞き流し立ち上がったルフィは、牛乳目当てで再び浴場へと向かう。お供致しま~す、とブルックも消え、ゾロはその場にドカッと胡坐をかいて盛大なため息をついた。

 

「ったく。ガラでもねぇ。」

ポスッと緑髪を小さな手が撫でる。

「おまえも……不安だったの?」

「んなわけあるか。」

即答するその早さが肯定していた。

小さな唇が秀でた額に押し当てられる。仰向けたゾロの顔に一回り小さな顔が重なった。

 

ぷはぁっ

 

「あー、もう、ホント早く戻れ。」

ゾロは、抱え込んだ薄い肩に顎を乗せ、小さな尻にゴリゴリと凶悪なブツを押し当てる。

「うっわ!アホ、なにおっ勃ててんだ!いたいけなこのおれ様になにしようってんだ、離せクソ変態ヤロー!」

「しねーよ、アホ。できるわけねーだろ、ぶっ壊れるわ!……だから、早く戻れ……」

 

そのとき、二人は知らなかった。

あんなに官能的に喘ぎながら、戻るなんて。

 

 

「うぁ!あ、あ、はあぁぁ――んっ!」

「このエロコック!誰にイかされてんだ!」

「イってねぇわ、アホ―!」

 

ちゃんちゃん♪

Fin

 


2013/8/17 SCC19のペーパーでした。

FILM Z でモドモドされたのがサンジだったら、という妄想ネタ。