「ンッ、あ …ぁあっ!」
イク…と思ったとき、執拗に擦っていたその場所から指が外された。
くっそ…何度目だ、この野郎!
最初は耳、そして鎖骨、胸、腰骨、足の裏に膝の裏、いたるところを執拗に噛まれ、ねぶられ、躰中が発火しているように熱い。
もう、どこを触られても悔しいが、イイ。感じる。
どこでもイケそうなほど感じてるのに、あと一歩のところでやめちまうんだ、このバカは。
しかも、おれの手は耐えきれずに胸へと降ろしたときに、両手首まとめて戒められたまま。
言うに事欠いて、お仕置きだと?ふざけるな。
女性に美辞麗句を捧げるのは紳士のマナーだし、店のおっちゃんたちに愛想ふりまくのも、安く大量に仕入れるテクだろうが。
無様な嫉妬なんかするんじゃねぇっての!
ギロリと睨むと、ふと顔を近づけてきたゾロの唇が触れる寸前に囁いた。
「ごめんなさい、は?」
「言うかよ、ばーか。」
「もう、しません、は?」
おれはべーっと舌を出すと、ガツンと頭突きをした。
「この強情っぱりめ。」
「あっ……」
とうとう、後孔から指が抜かれる。
指先を曲げて、内壁をひっかくように、一本…、また一本…、最後の一本…。
取り込むように収斂したって無駄だろうけど、止められない。
切なく開いた空洞を引き絞っても無いものは無い。
くちゅ
ゾロの熱を求めて、動いてしまうソコから水音が響いた。
カッと顔に血が上り、なぜかポロリと涙がこぼれた。
「くくっ、躰は正直じゃねぇか。入れて欲しいだろ?」
もう、降参してもいいか…そう頭をよぎったモノをこの言葉がねじ伏せた。
絶対ぇ、負けねえ!
……米、小麦粉、とうもろこし粉、乾燥麺、塩、胡椒、砂糖、味噌、醤油、酢、サラダ油にオリーブオイル、唐辛子、バジルにパセリ、ローズマリー……今日買った買出し品を頭の中に並べ立てる。
よし、少しだけど萎えてきた。
ひとつ深呼吸をして、投げ出していた脚をゾロの腰に絡め、結ばれたままの手首を緑の頭に通し、首を引き寄せる。
「ゾロ…キス…」
自分の優位を信じて疑わない男は好色な笑みを浮かべると、いかにも与える、という態で顔を寄せてきた。その首を強く引き寄せ、絡めた脚を引き倒すと、完全に油断していたゾロの体躯が横倒しになる。
そのガッシリとした体に乗り上げると、唇を貪った。
ぷは
二つの唇を銀の糸が繋ぐ。名残惜しく、ゾロの口の端を舐めて、鼻を頬にこすり付ける。
が、いつまでもこうしちゃいられない。
「散々、イイコトしてくれたもんな。お礼しなきゃなぁ?」
ぱくん、とゾロの砲身を咥える。このデカブツを咥えてしまうと舌を動かす隙間もない。
けれど、もっと大きくなるのも知っているから、咥えられるサイズのうちに口全体で吸い上げてやる。
ふと目を上げると、眉間にしわを寄せて、目を閉じている精悍な顔。
「ゾロ…見ろよ、おれを。なぁ…おれの口、てめぇのでいっぱいになっちまうんだぜ。」
再び、咥え直すと頭上でうっと呻き声が聞こえた。
「あ…もう、ムリ…てめぇ、デカすぎだ。」
顎が外れそうなほど大きく開けた口から、ゾロの砲身が飛び出した。
戒められた両手で撫で、舌を這わせると頬と鼻の間にカリが擦れる。
ダラダラと零れる先走りをチュッチュッと吸い上げ、裏筋を舐めおろして到達した袋をひとつ口に含む。ひとつはやわやわと掌で揉み、口に含んだひとつはころころと飴をなめるように転がした。
呻き声とともに漏れる息が荒くなっている。
砲身は明らかに太くなり、ビキビキと血管が浮かんでいる。
再度先端に口を付けて、カリまで包み込むと舌先を尿道口に突っ込んだ。
途端、ドクンと脈打ち、さらに太くなった砲身。
その根元を両手でぎゅっと握った。
「くっ……」
顔を歪めて、睨みつけるゾロの顔を見上げ、嫣然と笑ってやる。
さっきまでのことがあるから、頭ごなしに手を離せとは言えないんだろ?
ざまーみろ。
「なぁ、まだ、入れたくなんねーの?」
「あ!?」
凶悪な顔。ついつられて睨みそうになるのを抑えて色気を纏う。
おれの肩でギリギリと力が入るのを我慢している手を掴み、指をちゅくちゅくと舐めてから、一本だけ後孔に導いた。
「おれン中、てめぇが欲しくてこんなにトロトロなのに…」
あ、やべ、本気で気持ちイイ。
はぁっとゾロの耳元で漏れた息がひどく熱を帯びている。
「てめぇは欲しくねーのかよ?」
ゾロの手を離しても、もう抜こうとしない。
その指をきゅっきゅっと締め上げながら躰をずらして、そそり立つ砲身で入口を擦った。
「おれン中…もう飽きちまった?」
「っんなわけねーだろ!アホ!」
下からズンッと突き上げられる。何の抵抗もなく、おれのソコはヤツを飲み込んでいった。
「くそっ、結局おれの負け、か。」
悔しそうに顔を歪めるゾロ。躰まで変えられちまったおれが根本的に負けてんだから、いいじゃねぇか。
「あ、ああああああ……ば、か。指抜け…う、うう、負けはおれ、だろ。」
くん、と指を曲げられる。
「ぁはああっ!……あ、あ、んう…手…手ちょだい…」
ぎちぎちの中で暴れる砲身に沿うように突っ込まれた指は抜く気が無いらしい。
もう、それはそれでいい。
でも、もうひとつ、あるだろう。分厚い手、硬くてゴツゴツした指、あれで…
触って欲しいところがある。
さっきから、ジンジンして震えて起ち上がってるのは、男の象徴と……普段必要と感じることのない胸の突起。
その小さな二つの粒こそ、刺激が欲しくて疼いてる。
「手はココだ。」
知ってか知らずかそんなことを言いながら、ゾロは中の指を応えるように動かすから、膝から力が抜けた。
「くっ、はぁぁあ――ち、がう。…こっち。」
ゾロに覆い被さり、顔に胸を擦りつけるとペロリとそこに舌を這わされた。
ぺちゃと濡れた感触が、次の期待を連れてくる。もう片方にゾロの指が伸び、コリコリと抓んで押しつぶす。
「あ――ぅ…それ…も、と――。もっとぉ……」
ちっと舌うちをしたゾロがガリと痛い程噛んでくるのが気持ちいい。
びりびりと快感がペニスに走る。いつかゾロに絶対にここ繋がってると言って、てめぇだけだろ、とバカにされたがホントなんだ。堪らない。何度も限界をやり過ごさせられていたおれはあっけなく白濁を噴き上げた。
イクと自然と下腹に力が入り、ナカに入り込んでいるヤツと指を締め付けてしまう。その形を詳細に感じてまたすぐ次の波が来る。止まらない!
「くっそ、誤爆するとこだったろうが!」
そんな八つ当たりされても自然現象だってのに、腹いせのように叩きつけてくる。奥まで抉られる。
「ばかっ、まだ、イッて、ん!ンンんっ!せめ、て、寝かして!」
もう、膝立ちでいるのがツラかった。
入ったまま後ろに倒され、大きく開いた脚の間のゾロを見上げると、ぎゅうっと心臓が鷲掴みにされたように飛び跳ねる。切羽詰った表情、ぎらぎらしら双眸。すげぇ、食われちまいそうだ。
激しい腰の律動に合わせてぽたぽたと汗が降ってくる。
ああ……飛んじまう…!
熱い迸りを中で受け、同時に前立腺を指で擦りたてられ、おれは意識を手離した。
「おまえ、イッてんのか?」
ひどく間の抜けたゾロの質問には、もちろん答えられなかった。
ふと、途切れた意識を再び襲う快感が急浮上させる。
「ひあっ、なんで、手こき!」
「てめぇ、ナカだけで気まで飛ばしやがって、起ったまんまじゃつれぇだろ。」
勃ったまんま?ウソだろ?あんなに思いっきりイッたのに!?
ゾロは上手かった。
なのに、なぜかイケなくて、確かにツライ。
さっきから散々他の場所は触られていたが、直接の愛撫は無かったからだろうか。
イキそうになって、ブルッと身震いまでするのに、射精できない、それを2度繰り返したとき、ぼろぼろとこみあげた涙が堪える間もなく溢れた。
「今、いかしてやっから、泣くな」
くれたキスにむしゃぶりついて、再度握られたそこの刺激に集中する。
同時に乳首をぎゅうっと抓んで引っ張られ、酸素を求めて口を引っぺがすと耳には舌が、後孔にはゾロがねじ込まれた。
どれが決め手だったのかもわからないほど、全身で達したおれは、声も出せずに絶頂を迎えていた。
はあっはあっと荒い息を吐くおれの頭をなぜかよしよしと撫でてくる。
「イケたな。」
「……おう。」
胎内に感じるゾロの熱い鼓動が気になるが、今は指一本動かせる気がしない。
「なぁ、悪ぃけど。ちょっと休憩な。」
「おう、このままでいいか?」
「ああ、動くなよ。んで、重い。」
体勢を入れ替え、ゾロの上でぺたりと躰を倒すとちゅっちゅっと唇を啄ばんだ。
「あのな、おれをこんなにさせんのてめぇだけだぞ?嫉妬とかみっともねーことすんなよ、未来の大剣豪が。疑うんじゃねーよ……悲しくなっだろ。」
「おれだけか。」
「あたりめーだろ。」
「おお。悪かった。」
頭を掴まれ、近づいてくる唇を舌を伸ばして受け入れる。
後ろでイクのも、前だけでイケないのも、ちょっと前なら悩んだだろう。元に戻せと暴れただろう。
でも、今は、それでゾロが喜ぶなら、安心するなら、いいじゃないかと思う。
どうせ、この先こいつとしかセックスなんてしないんだし、二人が良ければいいと思えるようになった。
躰の変化よりも、この心の変化の方が驚くよな、実際。
動くなといいつけておいて、後ろをきゅっと締めてやると、こつんと頭を叩かれた。
あったかい気持ちが広がる。
もう少ししたら、また善くしてくれな。もっと啼かせてくれよな。
fin
やらなきゃいけないことがあるのですが、逃避行動でやおい書いてしまいました。
途中でポリネシアンセックスを知り、とても惹かれましたが、それは改めて書こう。第二(三?)ラウンドでポリネシアンは長くなりすぎる……
※入れたままでじっくり昂ぶるのを待つようなセックスのこと、と解釈したんだけど、合ってるかな?