鎖骨に歯を立てられ、小さく呻くとfねっとりと癒すように熱い舌が這う。はぁっと溜め息を吐いたつもりが、思いがけず甘い響きを帯びていて、サンジは身を竦めた。
焦れったいほど、ゆっくりと愛撫の手が降りていく。
待ち望んだ股間に手が触れ、下生えをかき混ぜられたとき、思わず「やぁっ」と声を上げると、それを受けたゾロは、痛々しい程勃ちあがって震えている箇所には目もくれず、足首を掴んだ。
「こっちなら良いですか?」
「え、なに……」
「そこはイヤなんでしょう?」
思い至ったサンジは、反論もできず、頬を染めて首を振るが気づかないのか、敬意を表している振りをしている男は脚から目を離さない。
脛を甘噛みし、膝の裏に舌を差し入れ、太腿をなで上げる。
際どいところまで差し掛かったゾロの舌は、不意に離れ、持ち上げたくるぶしにチュッと吸い付いた。
「この細い脚にこんな太い腱、よく育てましたね。」
サンジとは鍛え所が違うのに、そんなところまで見ていたのか、そして、それをそんな優しい顔で撫でるのか、喜びを感じつつも、放り出された欲望が限界を訴える。
「毎日蹴ってりゃ、そうなる!なぁ、もう!ゾロ!!」
「なんでしょう?」
「いい加減にしろよな、てめえ。早く寄越せ!」
「何をどこに?」
「てめえのナニをここに!」
のぼせたような赤い顔で、大きく脚を開いたサンジを見下ろしたゾロは、「仕方ありませんね。」と溜め息をついた。
その素振りはさもイヤイヤやってる風で、サッとサンジの眼が陰る。
それを見てからニヤリと笑うゾロは、本当に意地が悪いとサンジは思う。
(剣豪が演技なんてしてんじゃねえよ、くそ。)
だが、ゾロに翻弄されることを喜んでいる自分もいて。
たらたらと先走りを溢れさせている先端にキュッと爪を立てられる。クリクリとその周りのつるりとした部分を撫でられ、ああ、やっと!とサンジの期待が募ったとき、唐突に指は離れた。
「また!」
「指を濡らしただけですが、なにか?」
濡れた指が後ろを撫でる。突っついた末に第一関節まで潜り込ませたが、それもまた抜かれてしまう。
「ゾロ!」
「ヒクヒクしてますが、固いですね、無理でしょう。」
「なっ!ひでぇ、てめえがほったらかしにしてるからじゃねえか。」
いくら全身を愛撫されても、慣れたソコに欲しいと気持ちが望んでも、勝手に濡れる器官ではない。
いくら心が受けいれたくても。
情けなくて、それでも欲しくて、切ない気持ちが溢れそうになる。
ふと気づけば、それはBGMのチャルダッシュに乗っ取られているような感情の流れだった。
ゆっくりした旋律に沿った、ゆっくりした愛撫。高めては放り出す欲望の果て。
くるりと躰をひっくり返され、高く尻を持ち上げられた。
尻のスリットにねっとりと舌の這う感触。
「あ、やめ!」
「イヤですか?」
先ほどの魔の時間が蘇ったサンジは、しまった、と顔をしかめる。
「…やめ、ない、で……」
「はい。」
熱い厚い舌がぐにゅ、と挿入される。
「ん……は、ぁ…」
襞を伸ばすように、丹念に舐られ入口が舌を締め付ける。
中のコリコリしたところを固くした舌先でつつかれ、悲鳴のような嬌声を上げた。
一旦、出始めるともう止められない。
熱い色を纏った喘ぎ声が、ひっきりなしに口から飛び出し、激しいリズムと超絶技巧に満ちた演奏までが濡れそぼる。
いつしか、舌はゾロ自身にと代わり、さらに激しく突き込まれたサンジはガクガクと全身を震わして絶頂を迎えた。
ガクリと力の抜けた手足がシーツに投げ出される。
「はぁ…あぁン!」
躰の落下に伴い、自然とゾロの剛直が抜け出る、その感触に落ちながら背を反らした。
「こら。抜かないでください。」
「ん……四つん這い、も、ムリ…」
ゾロは投げ出された片脚を抱え上げ、その間に入り込む。
「イったばっかで大丈夫か?」
しつこい程使っていた敬語が崩れた、が、その気遣いがなにより嬉しかった。
驚いて目を瞠ったサンジの顔にふわんと笑みが広がる。
「へーき。来い、よ。」
敏感な内部をかき分けるように、ゾロが進む。
深く息を吐いて、サンジがシーツにしがみつくとき、萎れたサンジ自身は残滓なのか、薄い液体をコプッコプッと吐き出していた。
ゾロは、抽挿を再開しながら、そこに手を這わす。
握ると、大げさなほどビクンと腰が揺れ、みるみるうちに硬さを取り戻した。
落ち着くまでゆっくり、と考えていたゾロだが耐え切れず、ガツガツ抉り回し、最奥に吐き出したとき、サンジも再び達したようだった。
無言で見つめあう二人の唇が自然と重なった、それこそが敬愛のこもった労りのキス。
fin