チャルダッシュ

風呂上りのサンジは、ブルックから貰ったトーンダイヤルを手に取ると、見張り台へと足を向けた。

 

島でバイオリンソナタのピアノの演奏を中心に録音してくれたトーンダイヤルだ。バイオリンは船でも演奏できるから重奏でお聴かせできます、というプレゼントだったが、ピアノだけで聴いても美しい。

 

カチリとボタンを押すと幸福感に満ちたスプリングソナタが流れ出した。

 

 

 

「まだ、それ聴いてるのか。ブルックが上がってきたのかと思ったじゃねえか。」

 

「ピアノとバイオリンの区別もつかねえか、アホ剣士。」

 

見張り台の扉を開けると、待ち構えていたゾロが茶々を入れる。

 

「ナミさんとロビンちゃんはほっぺにキスしてくれた。ゴムはお手伝い券に肩たたき券。フランキーは素早く解凍できる板に、ウソップはブレンダー、ブルックはこれだろ。なぁ、おまえは?」

 

「一晩中啼かしてやる。」

 

「アホ。」

 

「ほっぺにキスしてやろうか?」

 

「そんだけでじっと寝ますってんなら、確かにな。プレゼントかもな?」

 

「じゃあ、なにが欲しいんだよ。言っとくが金は無えぞ。」

 

「そんなもん言われんでも知っとるわ! そうやっておれに聞くとこがダメなんだよなー。ま、所詮藻にそんな高度な期待してねーけど? 今日からおれの方が歳上だし〜、ちったぁ敬意を表してみろってんだ。」

 

「敬語でも使えってか。アホはどっちだ。」

 

「いいじゃねえか! 敬語! おまえ、11月まで敬語ね!決定〜!!

 

 

 

「敬語ねえ・・・ヤらせてください、コックさん。」

 

「は?」

 

 ソファでけたけたと笑っていたサンジの腕が不意にゾロへと引き寄せられた。

 

「脱がせますよ、コックさん。」

 

「ちょ、ゾロ!? なんだよ、いきなり!」

 

「いきなりじゃねえ、です。あなたの気が済むまで、おしゃべりに付き合うつもりで待ってただけですから。」

 

耳元で囁かれた『あなた』というありえない呼称に背骨がゾクゾクする。

 

サンジが身を竦ませると、ニヤリとゾロの片頬が上がった。

 

「耳がイイんですか?コックさん。」

 

「まだ、気済んでねえし! 話に付き合うつもりだったんなら、卑怯なことすんな!」

 

「望みを聞いただけですよ。」

 

「ちょ、やめ! あ……」

 

トーンダイヤルは進み、最後にサンジがリクエストしたバイオリン曲チャルダッシュに変わった。

 

ゆったりとした切ないメロディに添うように、ゆっくりとゾロが全身を愛撫する。そして突然のスピードアップ。戦うような激しい旋律、そして律動。ゾロの額に汗が浮かび、サンジの瞳に涙が溜まる。

 

手を上げてください、濡れてますよ、ヒクヒクしてどうしたんですか…普段無口な男が、ここぞとばかりに掛け続ける声に翻弄され、乱されたサンジは、自分がゾロの声に弱いことを嫌というほど自覚させられた。

 

それと。

 

「エッチんときにBGM厳禁だな。」

 

「あ?」

 

「おまえも! 敬語禁止!!

 

fin


なぜか、字体が変えられません・・・うう、不本意。

気を取り直しまして

こちらは、2014/3/2 ゾロサンオンリー TWIN BLAST!にて無料配布するペーパーです。

会場でお手にとって下さった方は全く同じ内容です、ごめんなさい。

 

ペーパーコメント(これも字体が…)

ゾロサンオンリーおめでとうございます!せめてペーパーだけでも、と作らせていただきました。お手にとっていただけて嬉しいです。

 

チャルダッシュ、好きな曲なんですが、先日、ロビー・ラカトシュの演奏をテレビで聴いて感激しました。機会があればぜひご視聴ください。

 

そして、タイバニ映画見ましてね、年下敬語攻めいいじゃん!3月ならゾロ年下じゃん!というわけで、敬語です。そんだけです。いつもアホですみません。

 

エロ詳細はペーパーで書いていいかわからなかったので割愛しました。それではまた機会がありましたら! 

 

というわけで、この割愛部分はこちら