柔らかい綿シャツを羽織った薄い腰に二本の太い腕が絡まる。
応えるように白い手が肩と腰に回り、その首を引き寄せた。
唇が合わさる寸前、引き寄せられた男がホッと息をつく。
軽く唇を合わせてから、サンジがニヤンと笑う。
「なんで、てめぇが緊張してんだよ。ばーか。」
「昨日の今日だぞ。」
「だから?緊張すべきはおれじゃねーの?」
コツンとサンジの肩に額を乗せたゾロが呻くような声を出す。
「何言ってるか、わかんねーよ。」
ベチッと緑の頭を叩いてから、髪に指を絡めると、慈しむような笑みが口元に広がる。
「怒るなよ?」
「何が?」
「昨日のな、ムリやりやっただろ。」
「てめぇ、クセんなったとか言うなよ?怒る、怒らねーってレベルじゃねーぞ。」
「なるかよ。ありゃ、よく無かった。」
「は?」
「てめぇなのによ、気持ち良くなんねーのな。」
「はぁ?てっめぇ、ケンカ売ってんのかよ!?
あんだけガンガンやっといて言うセリフか!」
抱き合っている手を振り解いて掴みかかろうとするサンジを、させるかとばかりにぎゅうぎゅうと抱き締める。
「おまえ次第なんだよな。つくづく、思った。」
まったく同じことを考えた、なんて ゾロは知らないのに。
「なに、言ってんだ…」
結論は丸っきり逆だったけれど。
「てめぇが受け入れてくんなきゃ、ダメなんだ。」
ギュウッと胸を掴まれたような気がした。
「反省、したかよ。」
「した。」
「ふん。てめぇは、おれにベタ惚れなんだろ?恋愛ってなぁ、先に惚れた方が負けなモンなんだよ。」
精一杯の虚勢を張るサンジ。
その顔をごく至近距離から覗き込むゾロ。
「諦めておれを追っかけてりゃいいんだよ、離そうとなんてすんじゃねぇよ。」
ふふん、とした表情を作って偉そうに言い始めた言葉だったが、最後にはクシャと顔が歪んだ。
その頬を両手で包み込み、鼻の頭をかぷっと咥える。
鼻梁を舐め上げ、瞼を吸う。目尻に舌を伸ばすと、サンジの喉がくふ、と鳴った。
「おまえもな。」
「ぁあ?」
「おれを看取って、他のヤツに抱かれるとか言ってんじゃねぇぞ。」
「!!」
「いいか。おれが死ぬときはてめぇも連れてくからな、覚悟しとけ。」
ゾクゾクとサンジの背筋を快感が走る。
「あっふ。…いいな、それ。たまんね。」
舌を伸ばし、顔を近づけると唇が触れる前に舌同士が絡む。
ケンカのようにやられただけやり返すような口接け。互いの咥内を舐めあう内に敏感なサンジの動きが鈍くなる。ゾロが伸ばした舌先で口蓋をつつくと、かくん、とサンジの膝が抜けた。
ベッドに沈みこみながら、覆い被さるゾロを見上げる。
昨日のことだ、忘れたとは言えない。
しかし、実際不思議なほど、恐怖心は湧いてこなかった。
首筋から始まったキスは腕を持ち上げ脇にまで舌を差し込まれ、高い声を上げさせた。
尖った胸の先端はこねるように弄られ、痛みを感じる寸前にぱくっと口内に包まれる。
こりこりと甘噛みされると、繋がっているかのように、下半身がぞくりと痺れた。
「はっ、くそマリ、モ…しつっけぇ」
「好きだろ?」
喋った拍子に冷たい空気が乳首を撫でる。
更に、空いた手でもう片方を弄られると、もう口は文句を紡げない。