Chu!Chu!Chu!

「おやつ食いたきゃ、キッチン集合〜!」

いつもの怒号が船内に響く。

もちろん、女性陣には華麗なデコレーションをプラスしてハーブティと共に給仕済み。

キッチンの扉を開け放したまま、待つほども無く船長を筆頭に次々と男達が走ってくる。

すれ違い様、サンジに向けて洗いたての手のひらを見せてラウンジに走り込む。

船長から始まって、年かさのロボ手も骨手もパーッと開いてから入っていく。

今日は全員合格、「まだ泥んこだ!」と洗い直しを命じられることがよくあるウソップは密かに胸を撫で降ろした。

テーブルに着くやいなや、5人の手が伸びたのを見届け、サンジはみかん畑へと足を向ける。

 

取り出したタバコをクルリクルリと弄びながら、木陰で太平楽に鼾をかく男に近づく。

踵を振りかぶり、ふと気を変えたサンジは傍らにしゃがむと、ぱかーっと開いたその口の端に吸い付いた。

ちゅっと軽い音を立てると、満足気に笑って再び立ち上がり、おもむろに片脚を高々と振り上げた。

脳天へと振り抜く直前、いびきは止まり、その脚をゾロの手がガシリと掴む。

「ぐえっ」
捕まえたはずのゾロから、情けない声が漏れる。

捕まったていのサンジが立った高さから、そのままゾロの首の上に座ったのである。

「あはは!」

愉しげに笑うと、サンジは全身をゾロの上で伸び伸びとくつろがせた。

「起きたか、ダーリン♪」

「気持ち悪ぃ呼び方すんな、アホコック。」

持ったままだったタバコをパクンと咥えると、ゾロの手がそれをさらう。

顎のひげをザリリと撫でた手が、その顎を上向かせる。

「タバコの前に味見させろ。」

言い様、ゾロにカプリと口を覆われ、入り込んだ舌を堪能する。

鼻から甘い息が漏れる。

舌の側面を擽られると、喉が鳴った。

サンジが、うっとりとゾロのキスを甘受していたとき、唐突にそれが終わった。

「甘ぇ。」

「…ん?」

「あー、リンゴ?」

「ああ、今日はアップルパイ。よくわかったな。」

「てめえ、おやつ呼びに来たのか。」

「おお、そうだった……うおっ!」

サンジを抱えたまま、ゾロはガバっと上体を起こした。

「ルフィたちは!?」

「呼んだぜ、あったりまえだろ?」

その返答に、上げかけた腰を降ろす。

「んじゃ、もうあるわけねーじゃねーか!バッカやろう、起こしに来るなら先に来いよ。チクショ。」

「そんなエコ贔屓しねーっての。だったら、全員呼んだときにてめえが来い!ア〜ホ。」

ゾロは、反転しながら抱き締めた痩身に覆いかぶさった。

「仕方ねえから、こっちで我慢してやる。」

「けっ、エラソーに。」

うそぶきながらも、中断された口付けの再開に胸は高鳴る。

降りてきた唇に待ちきれず迎えに行ったのはサンジだった。

上唇を舐め、下唇を甘噛みして、ようやく侵入してきた舌先にしゃぶりつく。

んっんっと上がる息が鼻を抜けていく。

 

はあっと熱い溜め息をつきながら唇を離すと名残惜しげに唾液が二人を繋いでいた。

「てめ、が、アップルパイ、そんな好きとは知らなか、た…」

「特にってわけじゃねえけどな。」

「そうか?のわりに執着してたじゃねえか。」

「みすみすてめえの料理逃すのはムカつくだろう。」

「!……あ、っそ……」

「どうした?急に顔赤くなったぞ?」

「なんでもねーよ!…なあ、ホントはな、ひと切れ隠してあるんだ。だから、なあ、もっかい…」

言い終わる前に塞がれた唇は隙間なくあわさり、激しく蹂躙し唐突に離れる。

上がった息を整える間を与えるように、その唇は頬へ移動し、さらに目尻で浮かんだ涙を吸う。

耳に移ったそれは、奥まで深く舌が入り込む。

「んんんっ!ちょ、やり、すぎ……」

ネクタイの下を這い回った手はボタンを二つ外し、するりと中へ。

「やりすぎ、だ!って!」

抗議を上げる口は再び塞がれ、胸元から湧き上がる甘い疼きを逃せなくなる。

べロリと顎を舐め、じゅっと吸い上げると首に下がっていく。

喉仏を柔らかく挟んだ唇はそこにも赤い跡を残し、はだけた白い胸へ行く。

「もう、おやつ…終わっちまう…」

ドクンドクンと脈打つ胸の上で、震えて立ち上がっている小さな尖りにとうとうその唇が到達した。

「ぁっん!」

強く食んだそこをきつく吸い上げたそのとき、一枚板の下で人の動く気配がした。

「サンジさーん!ごちそうさまでした〜とぉっても美味しかったです〜!」

ドアが開く音とともに呼ばれる声、チッとゾロは舌打ちを残して、サンジの上から身体を起こした。

「せっかくこんなに出来上がったのにな。」

「ばかやろう……どうしてくれんだよ、くそ……」

「どうしたい?今から見張り台に移動して、夕飯の支度は後回しにすっか?ちょこっと我慢して夕飯を早く済ますか?」

「もう!どっちにしても辛ぇのおれなんだろ、マッハで飯作るぞ、てめえ、手伝え!」

 

fin

 

さて、このサンジくん、出来上がるのに何回チューしたでしょう?

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