「…あち……だる……死ぬ……混んでる……もういや……」
「お前、文章をしゃべれ」
隣の家の幼なじみは、暑さに弱い。
家系が北欧の出だとかで、日本の湿気の多い夏は心底苦手らしく、満員電車での登校などは貧血ものだ。
かといって大学受験期の補講をすっぽかす訳にも行かず、毎朝無理矢理乗ってはグッタリしている。
骨の髄まで日本人の俺にとってはこれぐらいの暑さや人混みなど屁でもないので、一緒に乗って防波堤になってやっているのだ。
ここ連日の猛暑でサンジの顔色はひどく悪い。
コーナーに俺の腕と身体で空間を作り、一応保護してはいるが、肌の色が見る間に白を通り越し、青くなってきた。
「俺…もうだめかも…。次で下りる。補講遅刻してもいい…」
「いやいやあれ遅刻するのマジやべぇから。もちっと頑張れ」
「う~…」
ズルズルとへたりこみそうになる身体を、脇に腕を入れてグッと支える。
弾みで頬に触ったサンジの額は、冷や汗でひどくひんやりしている。
やべぇ、マジで貧血か。
「…もぉいい。ゾロ、俺を捨てていけ」
「何言ってんだ、後三駅だろ。ほら、元気出せ。」
「う…出ねぇ…」
一層力が抜けていく身体を、おいしょっと抱え直す。
ついでに。
ぷちゅっ。
「………っっっ!」
慌てて唇を拭うサンジの耳に口を寄せて、低く囁く。
「元気、出たか?」
「………おう」
後三駅。
この、真っ赤になったのを抱きしめていられる時間。
俺は腕にもう少し力を入れた。
終わり
私、始発駅に住んでるので、大概座って通勤なんですけど、
先日、珍しく満員電車に立って乗ってたら、身長が同じ位のお兄さんが隣になったんですよ。
なんつーか、鼻息が頬にあたる距離。
オヤジだったらいやだけど、これがイケメンでv(////)v
あくび噛み殺して涙目になってるのが、ちょっと堪らん感じだったわけです。
で、「満員電車なう。小さなイケメンの口が超近いんだけど!チューしていいかな?ドキドキ」と呟いたら
柚希さんがリアルでやっちゃダメよ、と投下してくださったのがこちら。
そら、もう!イケメンよりゾロサンっすよ!!