何かの始まり おまけ2-ゾロ

「あああぁっ!」

 

首にしがみついて、耳元で叫ぶコックの声が腰にクる。

擦り合わせていたコックのモノが放出するのをダイレクトに感じながら、イキそうになるのを堪える。                                

外で出すもんか、挿れてぇ。

指を抜こうとすると、やだ、まだ痒い、と言いながらキュッと入口が締まる。

挿れてぇ。

 

入れようとしてるものは指じゃねぇぞ?わかってるか?不安に思いながらコックを寝かすと、

視線がオドオドと彷徨っているのを感じ、おれの緊張感も高まる。

大丈夫だから。言いながら、自分にも言い聞かせていた。

 

 

 

陶然とした眼の縁が一際赤い、上気した顔が色っぽい。

半分ほど入り込んだだけなのに、熱い肉壁がきゅうきゅうと締め付ける。

すげぇ。

一気に突き入れたくなるのを、グッと堪え、そろそろと進む。

コックに掴まれた手が、口元に持っていかれる。

体勢はきつくなるが、縋り付かれているようで高揚する。 

掌に、はぁはぁと荒い息が熱い。

「や、掻いて、痒い、かいて」

「う、あっ!」

こっちが堪えてるってのに、先っぽにぐいぐい押しつけられて、耐えきれなかった。

チクショウ!

 

にんまりと笑うコック。

言い合っているうちに肩の力が抜けるのを感じる。

思った以上に緊張していたらしい。

 

「早く、しろ!ボケ!」

「てめぇが、邪魔してん、だっ!」

声とともに残りを一気に突き入れた。全体への締め上げにクラクラする。

慣らすように数度抜き差ししたら、もう耐えられなかった。

限界、と思ったとき、今までで一番の締め上げを喰らって達した。

腹に熱い液体が散る。

コックも達ったらしい。

なのに、笑えるほど、二人ともギンギンのままだ。

あぁ、確かに変なクスリだったんだろう。

 

 

 

コックの入口は皺ひとつ無いまで引き伸ばされている。

裂けてないことを確認して、再度動き出す。

さっきまでのぎゅうぎゅうと締め付けてくるのも気持ちよかったが、

今度は、トロンととろけて絡まってくるみたいだ。

ゆっくり抜き差ししながら、覆いかぶさって口づける。

「てめぇ、すげぇイイ。病みつきになりそうだ。」

コックの両手が首にしがみついてきた。汗ばんでしっとりしている。

「なれ、よ。離れ、らんなく・・・なっちまえ。」

「てめぇもな。」

ぐるん、と腰を回してみる。

「ひぃっ、ん・・・んぁ・・ぁ・・・・・、もう、今さら、だ・・・」

上半身を半ば起こしていたコックから力が抜け、首に回されていた腕もパタリと落ちた。

遠くなった肢体に近づきたくて、腰に手を回し起き上がらせる。

繋がったまま、胡坐をかいた上に座らせると、中であちこちが擦れ、その度に悲鳴があがる。

少しでも楽なように、と身体を斜めにしたおれに寄りかからせると

さっきまで最奥だと思っていた所よりさらに奥へヌルッと入り込んだ。

「やぁっ!も、ムリ・・・・またイクッ・・・・・・」

コックがおれの上で胴震いをするまで息を詰めて見ていた。

色っぽい。

誘われるように、乳首を口に含むとまたコックの肢体が跳ねた。

 

濡れそぼっている髪より濃い金の毛となだらかな丘に手を這わせる。

「まだ痛ぇか?」

そこを撫でながら聞くと、痛ぇ、と答える。

腰を持ち上げて、中を突きながら気持ちいいか?と聞くとイイと答える。

どこまで意識があるのかわからない姿に今なら言うんじゃないかと期待をかける。

「好きだ、サンジ。てめぇもだろ?」

ぶっ飛んで、復唱してるだけなんだろうが、うんうんと頷く姿が嬉しい。

「てめぇも言えよ。」

ただ同意しているだけと思われた男はぶんぶんと頭を振った。

「なんで。言えよ。言ってくれ。」

「や。言った、ら、また・・ちま・・・」

「なんだ?」

「忘れ、ちまう・・・ヤダ」

 

おれが忘れたのがこいつのトラウマになってんのはさっき目の当りにした。

同じ状況になるのが怖いのか。

そんなわけねぇだろ、と思うが、今おれが何を言ってもこいつの不安を拭い切れるわけじゃない。

くそ。

コックの腰を固定して下からガンガン突き上げる。

ぐにゃぐにゃと力の抜けた肢体は揺すられるままに辛そうな嬌声を上げる。

おれが中に放出したとき、コックは前からブシュッと透明な液体を噴き上げた。

 

「ゾロ」

 

ポスポスと頭を叩かれて、ハッとする。

こいつを見ていれば良いんだったな。

焦るな。 

ゆっくり歩けばいい。

もう、何があっても忘れたりしないと、疑う隙もないほど愛してやるから。

いつか好きだって言ってくれ。

 

ぺしゃんと萎んだ袋を揉む。

「もう出ねぇな。」

「ん、出な・・」

「でも、屹ってるぞ」

「うぅ、も、いらね」

「おれはまだ欲しい」

結合部は二人分の精液が流れてぐちゃぐちゃだ。

さっき善がったようにグラインドすると、白濁液が泡立っていく。

「あ!あ、ぁぁ・・・」

「すげぇ、泡立ってんぜ。」

「ん、んん・・・も、と・・かき混ぜ、て」

「りょーかい」

寸前に要らねえと言わせた理性をねじ伏せてしまったらしい。

望むままにかき混ぜて、突いたら、また透明な液が、噴き上げるほどもなくトロトロと零れた。

グラグラと揺れるコックの上体を寝かす。

「ふつ、の・・・セックスが、してぇ・・・・・」

ラストスパートに走り出したおれに、もう眼も開かないコックが最後に漏らした言葉は身につまされるものだった。

悪ぃな、それは明日だ。

 

おれが間違えても、こいつが引き戻してくれる。

こいつが落ち込んだら、おれが引き上げてやる。  

新しく始まったこの関係は、ただの仲間よりいいものに違いない。

 

 

 

翌日、コックの買い出しに付き合っていると、次は酒屋だと言いながら、色んな粉を売ってる臭い店で止まりやがる。

先に行く、と声をかけて歩き出したおれに男が声をかけてきた。

「よ!兄ちゃん。上手くやったみてぇだな。」

「アラン。世話になったな。」

「いやいや~。彼だろ?か~わいいじゃねぇか。」

ギロッと睨みつける。

「睨むなよ。いや~、実践で教えてやればよかったな~」

「頼まん」

「お相手したかったな~」

睨みながらなるべく低い声を出すが、さすが化け物の巣にいる男だ。

一般人と思えないほど、ケロッとしてやがる。

「あ、これ。新製品。やるよ。マンネリになったら使ってみな。」

渡された袋をガサガサと開けようとしているとき、脇腹に踵がめり込む。

今日は蹴れるみてぇだな。

「てめぇ、何、素人さんを恐喝してやがる。」

恐喝たぁ、なんだ!

「違う、違う!おれがプレゼントしたんだよ~。

 お兄さんにも、はい。これ、試供品ね。」

「あ、どうも。」

「もう、出航かい?」

「あぁ、昼には。」

「そうか~。残念だな。お近づきになりたかったぜ。

 この島でいい思い出はできたかい?」

ぱぁっとコックの顔が朱に染まる。

そんなかわいい顔を他人に見せるんじゃねぇ。

「あ、あぁ。良い島だな。」

「だろ?機会があったら、また来ておくれ。じゃ、良い旅を!」

 

「誰だ?ありゃ。」

「オカマの連れ。」

「うげ。じゃ、バレてんのか。」

「まぁ、そうだな。」

袋を先に覗いていたおれは、袋を開けようとしているコックの手からそれをもぎ取る。

「後だ、後。それより酒屋だろ。」

ずんずん道を歩き出す。

「ばぁーか。そっちに戻ったら、生鮮品しかねぇぞ。」

チクショウ。

Uターンしながら、腹巻に二つの袋を仕舞い込む。

面白そうなもんをもらった。だが、しばらくはいらねぇな。

fin