ゆらり と寝ていたはずの男からオーラが立ち昇った。
「な・・・・くな・・・・・」
「ゾロッ!」
ゾロがゆっくりと頭を巡らし、サンジを見た。
「ちっ、診立てより早かったな。ここまで、か。」
その声にハッとしたサンジが立ち上がろうとするが、動けるはずもなく、ベッドに縋って後ろを睨む。
「てめぇ、わかってたのか。騙しやがったな!」
「騙した?人聞きの悪い。おれが診るは必要ないって教えてやっただろう?」
そう受け取れる状況じゃなかった。だが、言われたことは確かだった。
何のために、こんな屈辱を受けたのか。
ようやく目を覚ましたゾロに、こんな姿を見られるなんて。
自分の考えが足りなかったのか・・・サンジの身体からへなへなと力が抜けるが、後ろに突き刺さった異物が邪魔でしゃがむこともできない。目尻に浮かんだ涙が零れないよう目を見開いた。
ゾロがローを睨みながら起き上がり、手から点滴を引っこ抜く。
「寝てる間に人のモンに手出すとはイイ趣味だな、アンタ」
「慰めてやったんだ。お礼を言われてもいいくらいだぜ?」
ローはそのまま、ふん、と鼻で笑うと踵を返し、それはやるよ、と言い捨てて出て行った。
サンジはベッドに顔を埋め、後ろのスイッチを切ろうと手を伸ばすが、その振動は動き方を変えるだけで、止まらない。
それどころか、新たな振動に身体が跳ねる。まずは見えているカテーテルを取り除くことにした。
「・・・っん・・・・・く・・・」
乱暴に引き抜き、床に叩きつける。サンジの先端には鮮血が滲んでいた。
再度、後ろに手をやったサンジを静かに見ていたゾロが制止する。
「さすがにそっちまで行けねぇ。もう少し近寄れねーか。」
サンジが恐る恐る顔を上げ、ゾロと視線が絡んだ。
「ゾロ・・・ごめんっ」
「いや・・・・・、おれのためだったんだろ?大体分かった。悪かったな。」
サンジを引き寄せ、胸を膝の上まで引きずり上げると、露になった秘孔を間近に見て、眉を顰めた。
「ひでぇ目にあったな。」
二つのスイッチを切ると、強張ったサンジの肩から力が抜けた。
しかし、「抜くぞ」その声に再び緊張が走る。
「力抜いとけ。」
体勢の悪さもあるのだろう、コクコクと頷くものの、一向に力が抜ける気配はない。
ゾロは頤に手をかけ、上向かせた唇を啄ばんだ。冷たくなった唇を食み、あいた隙間から舌を差し込む。サンジの弱い前歯の裏、上顎をつつくと、喉の奥から甘い声が漏れ、全身をゾロに預けてきた。
その瞬間を逃さず、後ろに刺さったモノをゆっくり引き出す。
キスに応えながらサンジが目を見開く。震えそうになる身体をゾロがしっかりと抱き締めた。
長い時間をかけて、異物を取り去った。
「サンキュ。あ―、今看護師さん呼んでくっから。」
相手は 長い昏睡から醒めたばかりの病人だったことに思い当たったサンジは、もそもそとゾロの上から降りようとする。
「後でいい。」
唇をあわせ、シャツのあわせから手を差し入れる。
「ちょ、お、まえ!まだ、まずいだろ・・・」
「看護婦にコレ見せる方が、まずいと思わねえか?」
指さす先は自身の股間で、そこは毛布の上からわかるほど立派な姿となっていた。
「なんで?キスしたから?」
「それも無いとは言わねぇがよ。てめぇが色っぽい顔してこっち見やがるし、イイ声で啼いてっし・・・」
サンジが両手でゾロの口を塞ぐ。
「も、いい!いいから!わかった!!!口でしてやる!」
ゾロがサンジの尻に手を伸ばす。
「なんで。入れさせろよ。」
「いや、だ。気持ち悪ぃだろ。・・・・洗ってから・・・・」
しゅんと項垂れて、床に足をつけたサンジを再度引き上げる。
「力入んねーんだから、何度も持ち上げさせんなよ。」
「バカだろ!降ろせよ!」
「気持ち悪くなんかねえ。てめぇが気持ち悪いってんなら、あれだ。あー、消毒してやる。」
サンジが伸ばしかけた足を止める。
「あれは、おれと繋がる準備をしてただけだ。」
ゾロに被さるようにサンジは全身でゾロを抱き締めた。
寝具を剥いだゾロの上にサンジがまたがる。
膝立ちになったサンジの太ももが震えるのを支えるように、ゾロが腰に手を添えた。
「んっ」
サンジがゾロをみつめ、右手を伸ばす。
ゾロはその手を取り、指を絡め握り合わせた。
「大丈夫か」
こくんと頷き、サンジの腰が降ろされる。それと比例するように顎が上がっていく。
曝される白い喉。
「あ・・・あ、あ、あぁ・・・・・・・はぁーっ。」
尻がゾロの股間に到着したときには、サンジの眼は潤み、頬は朱に染まっていた。
あぁ、ゾロだ・・・
腹の中に脈動を感じる。
力強く脈打つそれの形を確かめるように、サンジの中が絡みついた。
ゾロが、腰を回す。
「あぁっ!・・・まて。てめぇは動くな。」
「動けるか?」
ゾロは枕元のスイッチを探り、寝台ごと身を起こすとサンジを抱擁する。支えを得たサンジは抽挿を開始した。
深く、浅く、ゆるく、早く・・・
久し振りに2人で駆け上がった階段は、とてつもなく気持ちよく、呆気ないほど簡単に終わりを迎え・・・・・・おちた。
自身の放出後、サンジが達って還ってくるその顔を見ていると胸がいっぱいになる。
もやがかかったような瞳に力が戻り、焦点が定まる、そこに映るのは常に自分でありたい、と思う。
自分が眠っている間、どれほどの日にちが過ぎたのか、サンジの頬はこけ、胸にはアバラが浮いている。
貞操観念の強い男が、見ず知らずの男に弄ばれたのも、思考力が低下していた証拠だろう。
強くならねば。
サンジは守る必要などない。守ろうなどとしたら、こっちが倒される。
だが、自分が倒れたら、崩れるから。
強くならねば。
もう二度と、こんな思いをさせないために。
fin
疑似恋愛の翼嶺様がリクエストしてくださいました。 が、がんばったんですけど・・・(汗)
まず・・・これ、ロー?
翼嶺様の書かれるお話がとっても素敵なのを承知で、これを捧げるのは非常に!恥ずかしいのですが、良かったら貰ってやってくださいませ。煮るなり、焼くなりお任せいたします~